山梨県:条例により「義務化期間:12月1日から翌3月31日」、指定区域に「八ヶ岳(赤岳、権現岳、編笠山)」。それ以外の期間も通年で努力義務 長野県:「長野県内の指定登山道を通行する際には、登山計画書の届出が必要です。」(平成28年7月1日施行) 「県境付近を縦走するルート」も対象になるため、山梨側から入って長野側の登山道を歩く場合は、両県の要件を確認する必要があります。 この記事は登山ガイドではありません。宿を取る前に知っておくべき制度と条件をまとめたものです。
そもそも、どんな山か
長野県の説明を引用します。
八ヶ岳は、フォッサマグナの中央部に南北に連なる列状の火山群で、約50万年前以降の噴火活動によって形成された火山です。夏沢峠を境に北八ヶ岳と南八ヶ岳に分けられ、主峰の赤岳(標高2,899m)を含む南八ヶ岳は、中期更新世(チバニアン)に活発に活動した火山で、長期にわたる侵食による険しい岩稜が特徴です。一方、蓼科山や縞枯山(しまがれやま)を含む北八ヶ岳は、中期更新世の古い火山体の上を、新しい後期更新世の火山噴出物が被っているため、比較的なだらかな山容となっています。
南は険しく、北はなだらか。この違いは装備と難易度に直結します。北杜市の山岳ガイドによれば「赤岳は八ヶ岳連峰の最高峰で標高2,899mの山です」。
登山計画書は義務です
山梨県
山梨県公式の記載です。
山梨県では、「山梨県登山の安全の確保に関する条例」により、次のとおり登山計画書の提出を義務化しています。 義務化期間:12月1日から翌3月31日 指定区域:富士山(富士山の山梨県側のうち、標高3,000m以上) 八ヶ岳(赤岳、権現岳、編笠山)
さらに、義務化期間外も努力義務です。
登山計画書の提出が「努力義務」の山域(通年)富士山(概ね六合目以上以上)・八ヶ岳(赤岳、権現岳、編笠山)・南アルプス(白根三山、鳳凰山、甲斐駒ケ岳等)
提出方法は「登山アプリ「コンパス」、メール、FAX、郵送、登山ポスト」。FAX番号も八ヶ岳専用のものが案内されています(「ファックス … 八ヶ岳へ登る方050-3066-0117」)。
条例の施行は「平成29年10月に「山梨県登山の安全の確保に関する条例」が施行されました」とのことです。
長野県
長野県はもっと広く網をかけています。
長野県内の指定登山道を通行する際には、登山計画書の届出が必要です。 平成27年11月県議会定例会において、「長野県登山安全条例案」が可決され、平成27年12月17日に公布しました。(略)第21条の規定(登山計画書の届出)は、平成28年7月1日から施行します。
そして、ここが見落としやすいところです。
指定登山口から入山しなくても指定登山道の一部を通行する場合は、登山計画書の届出が必要となります。 県外から越境し、県内の山頂に登山する場合でも、指定登山道の一部を通行する場合は、登山計画書の届出が必要となります。 県境付近を縦走するルートは、県内部分の登山道のみ指定登山道に該当します。
「山梨側から入るから長野は関係ない」は通りません。八ヶ岳は県境の山なので、歩くルート次第で長野県の届出が必要になります。
原村が公開している「八ヶ岳 登山口アクセスガイド」(南北八ヶ岳保護管理運営協議会)にも、同じ趣旨が書かれています。
平成28年7月1日より長野県登山安全条例により長野県内の登山道を通過する時は登山計画書の提出が義務化されました。
条例ができた背景も、長野県が公開しています。
本県の遭難件数は、平成22年から平成25年度まで4年連続で過去最多を更新し、平成26年も依然として高い水準で推移しています。また、登山道は、管理者不明のものが多く、約300箇所の危険箇所が存在し、早急な対策が必要となっています。
主な登山口と駐車場
| 登山口 | 公式の記載 |
|---|---|
| 観音平(山梨・編笠山方面) | 「標高1,560mに位置し」「観音平には50台分ほどの駐車場があり、登山シーズンには早朝から満車になったりします。」「中央自動車道小淵沢ICから(略)ICから約15分」「JR小淵沢駅からタクシーで20分程度」 |
| 美濃戸口(長野・赤岳方面) | 八ヶ岳山荘の位置が「茅野駅からバス40分、美濃戸口下車 標高1500m」 |
| 美濃戸(長野) | 赤岳山荘の位置が「美濃戸 標高1760m」 |
| 美し森(山梨・軽いハイキング) | 「標高1542メートルの小高い丘」「山頂まで徒歩で約15分ほどの気軽なハイキングが可能です」「駐車場:50台」 |
観音平は「早朝から満車になったりします」と北杜市が明記しています。登山口の駐車場は50台前後で、シーズンは早朝勝負です。
冬は登山口へ行く道自体が閉まることもあります。茅野市の鉢巻道路(市道1級36号線)は「令和7年12月10日(水)から 令和8年 4月10日(金)まで」通行止めです(冬の八ヶ岳)。
なお、赤岳山頂には山小屋があります(赤岳頂上山荘・「赤岳山頂 標高2899m」)。
救助は「呼べばすぐ来る」ものではありません
山梨県警察の説明を、そのまま引用します。
通報を受けると、警察ヘリコプター、地上救助隊の出動を検討しますが、ヘリコプターは標高の高い山岳地帯や急峻な岩稜帯等でホバリングできない場所があること、また、悪天候や日没となり出動できないこともあります。 遭難が複数発生した場合、遭難者の容体等に応じ救助の優先順位を決めていくため、救助に時間を要するケースもあります。地上部隊が出動しても場所によっては現場まで1日以上かかる場合や、遭難地点でのビバークをお願いするケースがあるので、登山される場合には登山計画書を提出するとともに、万全な準備をお願いします。
「現場まで1日以上」「ビバークをお願いする」。これが公式の説明です。
現在(2026年8月時点)の注意喚起
山梨県のページ(ページID:66779/更新日:2026年8月6日)に、次の注意があります。
地震と台風の影響により、登山道周辺では地盤の緩みや落石・土砂崩れの危険性が通常よりも高まっています。 登山やハイキングの際は、最新の情報を確認し、登山計画書の提出など十分な準備や装備の上、足元や上方に十分注意し、異常を感じた場合は直ちに引き返してください。 大雨や大雪などの悪天候時は登山を控えてください。 県内でツキノワグマの目撃情報が寄せられています。
この注記は時期によって変わります。出発前に必ず県の最新ページを確認してください。
登らない人にも関係する話
八ヶ岳の高原には、登山とハイキングの中間くらいの行き先があります。
- 美し森:「山頂まで徒歩で約15分ほどの気軽なハイキングが可能です」「山頂の展望台からは清里高原や南アルプスの山々の大パノラマが広がり」
- 清泉寮の自然歩道:「森の中の散策路や広々とした牧草地はお散歩にぴったり」
- 吐竜の滝・川俣川渓谷の遊歩道:ただし「蘭庭橋から天井岩橋の区間は現在通行不可となっております。 天狗岩橋は通行不可となっております。」
山に入る計画がなくても、山の情報(通行止め・クマ・天候)は見ておいてください。高原の遊歩道でも同じ山域です。
犬連れの場合、登山道は連れて行く場所ではありません。犬と歩けるのは、八ヶ岳で犬と行けるスポットにまとめた施設の散策路・ドッグランです。
なお、アイタヨの八ヶ岳のエリアページはまだ準備中です。犬と泊まれる宿のエリア別ページはこちらにまとめています。
よくある質問
八ヶ岳を登るのに登山計画書は必要ですか?
山梨県では「山梨県登山の安全の確保に関する条例」により、12月1日から翌3月31日は八ヶ岳(赤岳、権現岳、編笠山)で提出が義務です。それ以外の期間も通年で努力義務とされています。長野県では「長野県内の指定登山道を通行する際には、登山計画書の届出が必要です」とされ、県外から越境する場合も対象です。
赤岳の標高は?
北杜市の山岳ガイドに「赤岳は八ヶ岳連峰の最高峰で標高2,899mの山です」とあります。
南八ヶ岳と北八ヶ岳の違いは?
長野県の説明では「夏沢峠を境に北八ヶ岳と南八ヶ岳に分けられ」、南八ヶ岳は「長期にわたる侵食による険しい岩稜が特徴」、北八ヶ岳は「比較的なだらかな山容」とされています。
登山口の駐車場は空いていますか?
観音平について北杜市は「観音平には50台分ほどの駐車場があり、登山シーズンには早朝から満車になったりします」と書いています。
軽く歩きたいだけならどこがいいですか?
美し森は「標高1542メートルの小高い丘」で、「山頂まで徒歩で約15分ほどの気軽なハイキングが可能」と北杜市が案内しています。
参考・出典
- 「山梨県では、「山梨県登山の安全の確保に関する条例」により、次のとおり登山計画書の提出を義務化しています。」「義務化期間:12月1日から翌3月31日」「八ヶ岳(赤岳、権現岳、編笠山)」「登山計画書の提出が「努力義務」の山域(通年)富士山(概ね六合目以上以上)・八ヶ岳(赤岳、権現岳、編笠山)・南アルプス(白根三山、鳳凰山、甲斐駒ケ岳等)」「提出方法:登山アプリ「コンパス」、メール、FAX、郵送、登山ポスト」「ファックス … 八ヶ岳へ登る方050-3066-0117」「平成29年10月に「山梨県登山の安全の確保に関する条例」が施行されました。」「地震と台風の影響により、登山道周辺では地盤の緩みや落石・土砂崩れの危険性が通常よりも高まっています。」「大雨や大雪などの悪天候時は登山を控えてください。」「県内でツキノワグマの目撃情報が寄せられています。」(ページID:66779/更新日:2026年8月6日)──山梨県 登山・山岳情報(2026-08-13 確認)
- 「長野県内の指定登山道を通行する際には、登山計画書の届出が必要です。」「第21条の規定(登山計画書の届出)は、平成28年7月1日から施行します。」「指定登山口から入山しなくても指定登山道の一部を通行する場合は、登山計画書の届出が必要となります。」「県外から越境し、県内の山頂に登山する場合でも、指定登山道の一部を通行する場合は、登山計画書の届出が必要となります。 県境付近を縦走するルートは、県内部分の登山道のみ指定登山道に該当します。」「本県の遭難件数は、平成22年から平成25年度まで4年連続で過去最多を更新し、平成26年も依然として高い水準で推移しています。また、登山道は、管理者不明のものが多く、約300箇所の危険箇所が存在し、早急な対策が必要となっています。」──長野県 登山安全条例(2026-08-13 確認)
- 「平成28年7月1日より長野県登山安全条例により長野県内の登山道を通過する時は登山計画書の提出が義務化されました。」──原村 八ヶ岳 登山口アクセスガイド(南北八ヶ岳保護管理運営協議会/PDF)(2026-08-13 確認)
- 「通報を受けると、警察ヘリコプター、地上救助隊の出動を検討しますが、ヘリコプターは標高の高い山岳地帯や急峻な岩稜帯等でホバリングできない場所があること、また、悪天候や日没となり出動できないこともあります。」「地上部隊が出動しても場所によっては現場まで1日以上かかる場合や、遭難地点でのビバークをお願いするケースがあるので、登山される場合には登山計画書を提出するとともに、万全な準備をお願いします。」──山梨県警察 山岳遭難(2026-08-13 確認)
- 「八ヶ岳は、フォッサマグナの中央部に南北に連なる列状の火山群で(略)夏沢峠を境に北八ヶ岳と南八ヶ岳に分けられ、主峰の赤岳(標高2,899m)を含む南八ヶ岳は(略)長期にわたる侵食による険しい岩稜が特徴です。一方、蓼科山や縞枯山(しまがれやま)を含む北八ヶ岳は(略)比較的なだらかな山容となっています。」──長野県 生物多様性ポータル(2026-08-13 確認)
- 「赤岳は八ヶ岳連峰の最高峰で標高2,899mの山です。」──北杜市 山岳ガイド 赤岳(2026-08-13 確認)
- 「編笠山の登山口となるのは南側にある観音平。標高1,560mに位置し(略)観音平には50台分ほどの駐車場があり、登山シーズンには早朝から満車になったりします。高速道路なら中央道小淵沢I.C.が最寄り、電車の場合はJR小淵沢駅からタクシーで20分程度で到着します。」「中央自動車道小淵沢ICから環道11号線を5分程北上し、県道618号線に合流して観音平へ(無料駐車場50台)ICから約15分」──北杜市 山岳ガイド 編笠山(2026-08-13 確認)
- 「八ヶ岳山荘」「位置 :茅野駅からバス40分、美濃戸口下車 標高1500m」/「赤岳山荘」「位置 :美濃戸 標高1760m」/「赤岳頂上山荘」「位置 :赤岳山頂 標高2899m」──長野県 山小屋情報(八ヶ岳)(2026-08-13 確認)
- 「美し森山は赤岳(2,899m)の東尾根の一部が孤立して出来た標高1542メートルの小高い丘。」「山頂まで徒歩で約15分ほどの気軽なハイキングが可能です。」「山頂の展望台からは清里高原や南アルプスの山々の大パノラマが広がり」「駐車場:50台」──北杜市 美し森(2026-08-13 確認)
最終更新: 2026-08-20