同じ日光でも、白い湯と透明な湯がある。その理由は、湯が通ってきた距離にあります。
起点|奥日光湯元温泉:約1200年前、約78度、白濁
湯の出発点は、標高の高い奥日光にあります。日光旅ナビの奥日光湯元温泉のページには、次のように書かれています。
戦場ヶ原の奥にあり、湯川の水源となる湯ノ湖の北岸に開けた静かな温泉街が湯元温泉です。日光の奥座敷といわれ、約1200年前に日光開山の祖・勝道上人が発見したとされる白濁の硫黄泉が湧く名湯で、神経痛やリウマチに効くといわれています。
ポイントは3つあります。
- 場所:戦場ヶ原の奥、湯ノ湖の北岸。湯ノ湖から流れ出す湯川の水源にあたる位置
- 歴史:約1200年前、日光開山の祖・勝道上人が発見したとされる
- 湯:白濁の硫黄泉
温度については、後述する中禅寺温泉のページに「日光湯元は約78度の高温の源泉ですが」と明記されています。約78度は、そのままでは入れない温度です。
温泉街には無料の足湯もあります。同ページには「また、温泉街には無料で利用できる足湯「あんよの湯」(冬季休業)や、日帰り温泉を楽しめる施設・宿もございます。」とあります。冬季は休業です。
アクセスは「湯元温泉行バス乗車約90分、「湯元温泉」バス停下車」「清滝ICから約40分」。駅から90分。日光市内でもっとも奥にある温泉地のひとつです。
12km|引き湯という選択
ここからが日光の温泉の面白いところです。中禅寺温泉のページには、こう書かれています。
源泉は日光湯元温泉で、昭和26年より引き湯を始めました。日光湯元は約78度の高温の源泉ですが、12km余りの距離を移動する間に入浴に適した温度になります。泉質は、良質な硫化水素泉で、様々な効能があることでも知られています。
加水でも加温でもなく、12km余りの距離そのものが温度調整になっている。これが中禅寺温泉の成り立ちです。約78度の湯が、湯元から中禅寺湖畔まで下る間に、ちょうど入れる温度になる。
そして呼び名も変わります。湯元側の説明は「白濁の硫黄泉」、中禅寺側の説明は「良質な硫化水素泉」。同じ源から来た湯が、着いた先では別の温泉地の名前で呼ばれています。
引き湯が始まったのは昭和26年。中禅寺湖畔に温泉が「もともとあった」わけではない、という事実は、宿選びのときの見え方を少し変えます。湖畔の宿の湯は、いろは坂の上、さらに奥から来ているわけです。
終点ではない|市街地の日光温泉は、別の系統
3つめの湯は、標高を大きく下げた市街地にあります。日光温泉のページの説明です。
日光の市内、世界文化遺産に登録された「日光の社寺」の周辺に広がる温泉地。その昔、弘法大師が「夢想の湯」と呼んでいた源泉を近年掘り当てた温泉で、無色透明の泉質。肩こりや神経痛、美肌に効果があるといわれています。
こちらは湯元からの引き湯ではありません。「夢想の湯」と呼ばれていた源泉を近年掘り当てたもので、湯は無色透明。
湯元の説明にある「神経痛やリウマチ」と、日光温泉の「肩こりや神経痛、美肌」。重なる部分と、重ならない部分があります。
3つを並べて見る
| 温泉地 | 湯の出どころ | 見た目・泉質 | 位置 |
|---|---|---|---|
| 奥日光湯元温泉 | 約1200年前に勝道上人が発見したとされる源泉。約78度 | 白濁の硫黄泉 | 湯ノ湖の北岸。バス約90分、清滝ICから約40分 |
| 中禅寺温泉 | 日光湯元温泉から昭和26年より引き湯。12km余り | 硫化水素泉 | 中禅寺湖畔 |
| 日光温泉 | 「夢想の湯」と呼ばれた源泉を近年掘り当てた | 無色透明 | 「日光の社寺」の周辺 |
「日光の温泉に入る」と言ったとき、どこに泊まるかで湯の見た目まで変わります。白い湯を目当てに来たのに市街地の宿を取った、という取り違えは起こり得ます(初めての日光)。
湯を「歩いて」たどる
湯元から中禅寺湖までの12km余りは、道としてもつながっています。湯元温泉の下には湯ノ湖があり、湯ノ湖の南端からは湯滝が落ち、その先に戦場ヶ原が広がって、中禅寺湖にたどり着く。湯の道筋と、歩けるコースの道筋がほぼ重なっているのが奥日光です。
湯ノ湖について、日光旅ナビは「湖岸には散策路があり1時間ほどで一周できます。」と書いています。温泉に入る前後の1時間として、ちょうどよい長さです(日光をひとりで歩く)。
公式に記載がない点
- 各宿の泉質・源泉かけ流しの有無:日光旅ナビの温泉地ページは温泉地単位の説明で、宿ごとの記載はありません。アイタヨにも日光の宿のデータがないため、この記事では宿別の湯の性質に触れていません
- 日帰り入浴の施設名・料金・時間:湯元温泉のページには「日帰り温泉を楽しめる施設・宿もございます。」とありますが、施設名と料金の一覧は確認できていません
- 問い合わせ先:奥日光湯元温泉については「※現在、奥日光湯元温泉旅館協同組合案内所 (0288-62-2570)は休業中です。 お問い合わせは各宿泊施設まで直接お願いいたします。」と案内されています。組合窓口への問い合わせは、現在できません
- 犬と一緒に入れる湯:日光の宿の風呂について、犬の同伴可否を示す公式の記載は確認できていません
よくある質問
湯元温泉と中禅寺温泉は、同じ湯ですか?
源泉は同じです。中禅寺温泉のページに「源泉は日光湯元温泉で、昭和26年より引き湯を始めました。」と明記されています。ただし説明されている泉質の呼び方は、湯元側が「白濁の硫黄泉」、中禅寺側が「良質な硫化水素泉」です。
なぜ12kmも引いているのですか?
公式の説明は温度についてです。「日光湯元は約78度の高温の源泉ですが、12km余りの距離を移動する間に入浴に適した温度になります。」と書かれています。引いた理由そのものの記載はありません。
日光駅の近くの温泉も白く濁っていますか?
いいえ。市街地の日光温泉は「無色透明の泉質」と案内されています。白濁した湯は奥日光側の説明です。
足湯はありますか?
奥日光湯元温泉に、無料で利用できる足湯「あんよの湯」があると案内されています。ただし冬季休業です。
湯元温泉について問い合わせたいときは?
奥日光湯元温泉旅館協同組合案内所は休業中と案内されています。「お問い合わせは各宿泊施設まで直接お願いいたします。」とのことです。
温泉地ごとの宿の数を知りたいのですが。
日光旅ナビの温泉地ページには、施設数の記載がありません。アイタヨも日光の宿のデータをまだ持っていないため、数字はお出しできません。
参考・出典
- 「戦場ヶ原の奥にあり、湯川の水源となる湯ノ湖の北岸に開けた静かな温泉街が湯元温泉です。日光の奥座敷といわれ、約1200年前に日光開山の祖・勝道上人が発見したとされる白濁の硫黄泉が湧く名湯で、神経痛やリウマチに効くといわれています。」──奥日光湯元温泉|日光旅ナビ(2026-08-14 確認)
- 「源泉は日光湯元温泉で、昭和26年より引き湯を始めました。日光湯元は約78度の高温の源泉ですが、12km余りの距離を移動する間に入浴に適した温度になります。泉質は、良質な硫化水素泉で、様々な効能があることでも知られています。」──中禅寺温泉|日光旅ナビ(2026-08-14 確認)
- 「日光の市内、世界文化遺産に登録された「日光の社寺」の周辺に広がる温泉地。その昔、弘法大師が「夢想の湯」と呼んでいた源泉を近年掘り当てた温泉で、無色透明の泉質。肩こりや神経痛、美肌に効果があるといわれています。」──日光温泉|日光旅ナビ(2026-08-14 確認)
- 「三岳の噴火で湯川がせき止められてできた湖で、周囲は約3km、三方を山で囲まれており、静かで、どことなく神秘的な雰囲気が漂います。湖岸には散策路があり1時間ほどで一周できます。」──湯ノ湖|日光旅ナビ(2026-08-14 確認)
最終更新: 2026-08-20